アメリカ文学
2026年に発表された作品で、邦訳はまだない。 主人公は女性のゴースト。彼女の仕事は、死の床にある人々の精神を癒し慰めること。後悔していること、し損ねたこと、言おうとして言えなかったこと、完全に認めたくない過ちなど、人生の様々な思い残すことを探…
2022年 ジェームズ・テイト・ブラック記念賞フィクション部門受賞 2023年 ピューリッツァー賞フィクション部門受賞(『Trust』と同時受賞) 2023年 女性小説賞受賞 現時点(2026年9月)で日本語には訳されていないようです。 ******************** Damon Fie…
2023年 ネビュラ賞、ローカス賞受賞 日本語訳は古沢嘉通訳『バベル オックスフォード翻訳家革命秘史』が東京創元社から上下巻で出版されている。 ******************** 19世紀帝国主義の時代、大英帝国は世界の覇権を握っていた。それを支えていたのが銀と翻…
ハヤカワ文庫 ※なぜか間違って記事を削除してしまったので再掲。 夏に読んだSFの感想を地道に続けている。 他の作品を読むつもりが、アンディ・ウィアー作品がセールになっていたので予定を変更して「アンディ・ウィアーの夏」を送ることになった。今回は彼…
ハヤカワ文庫 「アンディ・ウィアーの夏」、最後は本作。 ********** 舞台は月面都市アルテミス。 26歳のジャズは6歳の時父親とアルテミスに来て以来ここで暮らしている。ジャズは頭が良いが10代の頃に色々とやらかして真面目な溶接工である父親と折り合いが…
早川書房 主人公は、目が覚めると見知らぬ場所にいて、記憶も失っていた。そこは隔離された病院のようなところで、コンピューターに制御され、ロボットアームが自分の世話をしている。さらに、同じ部屋で二人の人間がそれぞれのベッドの上でミイラ化していた…
創元推理文庫 もう世の中はクリスマス・シーズンに移ろうとしていて今更感が満載だけれど、「夏はSFを読もう2025」企画の第一弾はマーダーボット・ダイアリー・シリーズの最新作。時系列では長編『ネットワーク・エフェクト』の直後にあたり、舞台も同じ惑星…
前に読んだエルナン・ディアズの『Trust』に「bell jar」という言葉が出てきて本作を思い出し、ちょっと読みたくなったので再読。以前に読んだのは日本語で、たぶん青柳祐美子訳の『ベル・ジャー』(河出書房新社)だったと思う。それは絶版になったようだけ…
2023年ピューリッツァー賞フィクション部門受賞 日本語版は井上里訳『トラスト ─ 絆/わが人生/追憶の記/未来 ─ 』が早川書房から出ている。 邦訳の副題が示す通り、本作は四部に分かれている。各部はそれぞれ小説、自伝、回顧録、日記という体裁をとり、…
日本語版は佐藤高子訳『プリンセス・ブライド』(ハヤカワ文庫FT)が出ていたけれど、絶版なのかな。ロブ・ライナー監督で映画化された『プリンセス・ブライド・ストーリー』の方が有名かもしれない。 初版は1973年。私が読んだのは25周年記念バージョンで、続…
2020年ブッカー賞受賞 日本語版は黒原敏行訳『シャギー・ベイン』が早川書房から出ている。 舞台は不況に喘ぐグラスゴー。冒頭1992年、17歳のShuggieはサウスサイドに部屋を借り、薄給のデリで働いている。そして物語は1980年代に遡り、アルコール依存症の母…
日本語版は新潮社から木原善彦訳『惑う星』のタイトルで出ている。邦題のタイトルが秀逸。原題よりも本書の内容に合っているのではないだろうか。 それにしてもパワーズはコンスタントに作品を発表していて感心する。しかも出す本出す本ピューリッツァー賞や…
創元SF文庫 シリーズの番外編や前日譚ともいうべき中編一編と短編二編を収録。 シリーズ第一作の感想はこちら。 suzynomad.hatenablog.com 前作の感想はこちら。 suzynomad.hatenablog.com 「逃亡テレメトリー」 マーダーボットがプリザベーションに腰を落ち着…
創元SF文庫 2021 ヒューゴー賞、ネビュラ賞他受賞 またシリーズ全体が2021ヒューゴー賞シリーズ部門受賞 『マーダーボット・ダイアリー』の続編。一つの長編として話は完結しているけれど、登場人物の関係の変化も読みどころなので、前作から順に読むのがオ…
創元SF文庫 第七回日本翻訳大賞受賞 「システムの危殆」 2018ヒューゴー賞、ネビュラ賞他受賞 「人工的なあり方」 2019ヒューゴー賞他受賞 夏のSF企画、『三体』の次は全くベクトルの違うこちらのシリーズ。とはいえ夏休みはもうとっくに終わり、かなり前に読ん…
Cal Stephanidesはギリシャ移民の三世、デトロイトで生まれ育った。女の子Calliopeとして育てられたが、14歳の時に5α還元酵素欠損症によるインターセックスだと分かり、男の子Calとして生きることを選ぶ。この劣性(潜性)遺伝が発現したのは近親婚によるもの…
この本の日本語訳が今年出版される予定だと聞いたんだけれど、今のところまだみたいだ。 ※2024年9月追記 10月に集英社から金子ゆき子訳『白猫、黒犬』のタイトルで出るとのことなので、日本語のタイトルも追加しました。 様々な童話からインスピレーションを…
高校生の時、読みまくったブラッドベリ。中でも本作は特別気に入っている作品だ。今でも、サーカス団が町にやってくる度にこの作品のことを思い出す。ブラッドベリの中で一冊だけ選ぶとすれば、本作と『10月はたそがれの国』のどちらかで迷って迷って、多分…
『十二月の十日』以来9年ぶりのジョージ・ソーンダーズの短編集。2022年に出版されて現時点(2023年12月)でまだ邦訳は出てないようだけど、そのうちきっと出るだろう。 ソーンダーズの作品は、ソーンダーズ節としか言いようのない味わいがあって大好きだ。 …
Beth Harmanは8歳の時に事故で母親を亡くし、孤児院で生活することになった。用務員のShaibelさんが1人でチェスをする姿を見て興味を持ち、チェスを教えてもらうようになる。Bethは驚くほどのスピードで上達して才能を示すが、院内薬局から精神安定剤を盗も…
2018年ピューリッツァー賞フィクション部門受賞 Arthur Lessは50歳の誕生日を目前に控えたゲイの作家だ。9年間付き合った若い恋人(もどき)のFreddyが他の男と結婚することになり、心が沈んでいる。Freddyの結婚式に出席しない口実を作るため、そして50歳の…
2014年ピューリッツァー賞受賞 冒頭、主人公Theoが何かに怯えながらアムステルダムのホテルに滞在している様子が描かれる。何らかの事件に関わっているようだ。 物語は彼が13歳の時のこと、最愛の母を失った爆弾テロ事件へと遡る。その日Theoは停学処分にな…
Maconはボルチモアに住む40代の中年男。『The Accidental Tourist』という旅行ガイドブックを書いている。対象読者は旅行を楽しみたい一般的なツーリストではなく、旅行なんて行きたくないのに仕事で已む無く行かざるを得ないビジネスマンだ。出来るだけ余計…
『Olive Kitteridge』(オリーヴ・キタリッジの生活)の続編。 前作の感想はこちら 全体のメインはオリーヴでありながら、オリーヴが脇役だったり名前が出るだけの短編もある、という作りは前作と同様。オリーヴが70〜80代になっていて、年老いて行くことの意…
小川高義訳 ハヤカワepi文庫 オリーヴ・キタリッジの続編を読む予定なので、復習の為に再読。初めてのエリザベス・ストラウトがこの本で、一読して大好きになった。ゆっくり味わいながら、何度でも読みたい連作短編集。 この本が魅力的なのは、オリーヴとい…
アイオワ州の架空の小さな町Gilead。76歳の牧師John Amesは、67歳の時に35歳年下のLilaと出会って結婚し、息子を授かった。自分の死期が迫っていることを悟ったJohnは、まだ幼い息子が成人した時に読むようにと長い手紙を書き始める。前半は主に代々牧師を務…
ニックとエイミーの夫婦はニューヨークに住んでいたが、二人ともライターの職を失って、2年前ニックの故郷であるミズーリ州に移住した。外からは理想的な夫婦に見えた二人の関係は問題を孕んでいた。そして5回目の結婚記念日にエイミーは突如姿を消す。しか…
2001年ピューリッツアー賞受賞 1939年ナチスドイツ占領下のプラハ。マジック(脱出術)と美術を学んだユダヤ人青年ジョセフ・カヴァリエは、ユダヤ人コミュニティの先行きを危惧した家族の後押しを受け、ニューヨークの叔母の元へと亡命する。 紆余曲折を経…
タイトル通り、舞台がフロリダ若くは主人公がフロリダ出身/在住という設定の作品を集めた短編集。作者のグロフ自身が夫の出身であるフロリダに移住している。 フロリダという地が単なる背景ではなく、その気候と自然がダイレクトに登場人物の心理や行動に強…
西暦10191年、人類の築いた宇宙帝国は、皇帝、領家連合、航宙ギルドの三者の権力バランスの上に成り立っていた。 有力領家の一つであるアトレイデス家は、水と緑の惑星カラダンから惑星アラキスへの移封を命じられる。アラキスは砂漠に覆われているため別名…