アメリカ文学
高校生の時、読みまくったブラッドベリ。中でも本作は特別気に入っている作品だ。今でも、サーカス団が町にやってくる度にこの作品のことを思い出す。ブラッドベリの中で一冊だけ選ぶとすれば、本作と『10月はたそがれの国』のどちらかで迷って迷って、多分…
『十二月の十日』以来9年ぶりのジョージ・ソーンダーズの短編集。2022年に出版されて現時点(2023年12月)でまだ邦訳は出てないようだけど、そのうちきっと出るだろう。 ソーンダーズの作品は、ソーンダーズ節としか言いようのない味わいがあって大好きだ。 …
Beth Harmanは8歳の時に事故で母親を亡くし、孤児院で生活することになった。用務員のShaibelさんが1人でチェスをする姿を見て興味を持ち、チェスを教えてもらうようになる。Bethは驚くほどのスピードで上達して才能を示すが、院内薬局から精神安定剤を盗も…
2018年ピューリッツァー賞フィクション部門受賞 Arthur Lessは50歳の誕生日を目前に控えたゲイの作家だ。9年間付き合った若い恋人(もどき)のFreddyが他の男と結婚することになり、心が沈んでいる。Freddyの結婚式に出席しない口実を作るため、そして50歳の…
2014年ピューリッツァー賞受賞 冒頭、主人公Theoが何かに怯えながらアムステルダムのホテルに滞在している様子が描かれる。何らかの事件に関わっているようだ。 物語は彼が13歳の時のこと、最愛の母を失った爆弾テロ事件へと遡る。その日Theoは停学処分にな…
Maconはボルチモアに住む40代の中年男。『The Accidental Tourist』という旅行ガイドブックを書いている。対象読者は旅行を楽しみたい一般的なツーリストではなく、旅行なんて行きたくないのに仕事で已む無く行かざるを得ないビジネスマンだ。出来るだけ余計…
『Olive Kitteridge』(オリーヴ・キタリッジの生活)の続編。 前作の感想はこちら 全体のメインはオリーヴでありながら、オリーヴが脇役だったり名前が出るだけの短編もある、という作りは前作と同様。オリーヴが70〜80代になっていて、年老いて行くことの意…
小川高義訳 ハヤカワepi文庫 オリーヴ・キタリッジの続編を読む予定なので、復習の為に再読。初めてのエリザベス・ストラウトがこの本で、一読して大好きになった。ゆっくり味わいながら、何度でも読みたい連作短編集。 この本が魅力的なのは、オリーヴとい…
アイオワ州の架空の小さな町Gilead。76歳の牧師John Amesは、67歳の時に35歳年下のLilaと出会って結婚し、息子を授かった。自分の死期が迫っていることを悟ったJohnは、まだ幼い息子が成人した時に読むようにと長い手紙を書き始める。前半は主に代々牧師を務…
ニックとエイミーの夫婦はニューヨークに住んでいたが、二人ともライターの職を失って、2年前ニックの故郷であるミズーリ州に移住した。外からは理想的な夫婦に見えた二人の関係は問題を孕んでいた。そして5回目の結婚記念日にエイミーは突如姿を消す。しか…
2001年ピューリッツアー賞受賞 1939年ナチスドイツ占領下のプラハ。マジック(脱出術)と美術を学んだユダヤ人青年ジョセフ・カヴァリエは、ユダヤ人コミュニティの先行きを危惧した家族の後押しを受け、ニューヨークの叔母の元へと亡命する。 紆余曲折を経…
タイトル通り、舞台がフロリダ若くは主人公がフロリダ出身/在住という設定の作品を集めた短編集。作者のグロフ自身が夫の出身であるフロリダに移住している。 フロリダという地が単なる背景ではなく、その気候と自然がダイレクトに登場人物の心理や行動に強…
西暦10191年、人類の築いた宇宙帝国は、皇帝、領家連合、航宙ギルドの三者の権力バランスの上に成り立っていた。 有力領家の一つであるアトレイデス家は、水と緑の惑星カラダンから惑星アラキスへの移封を命じられる。アラキスは砂漠に覆われているため別名…