さまよえる前日鳥

読んだもの、観たものについての取り留めない覚え書き。ネタバレ注意。

日本文学

『ヘヴン』 川上未映子

講談社文庫 「僕」は中学二年生。斜視で全てが二重に見え、うまく距離感がつかめない。クラスメイトからの酷いいじめに耐える日々を送っていた。ある日、筆箱の中に「わたしたちは仲間です」と書かれた手紙が入っているのを見つける。それはクラスでいじめら…

『コンビニ人間』村田沙耶香

文春文庫 第155回芥川賞受賞 ネタバレです。 古倉恵子は幼い頃から「異質」だった。世間一般の基準というものが分からず、何でも文字通りに解釈し、自分の行動が何故問題を引き起こすのかわからない。そのため極力口をきかず、あまり他人と関わらないように…

『献灯使』多和田葉子

講談社文庫 2018年全米図書賞翻訳部門受賞 東日本大震災、特に原発事故に触発されて書かれた物語集。 献灯使 義郎と曾孫の無名は東京西部の仮設住宅で暮らしている。何か酷い厄災が起きて東京中心部が汚染され、人が住めなくなっているようだ。鎖国して外国…

『おばちゃんたちのいるところ』松田青子

中公文庫 2021年世界幻想文学大賞(短編部門)受賞 歌舞伎や落語などの、日本で昔から語られてきた古典や怪談話をモチーフにした連作短編集。古い物語だと女性がやたらに酷い目にあったり、悪女に仕立て上げられたりする事も多いけれど、そういった物語に別…