水野忠夫訳 岩波文庫
うわー、面白い!想像してたのと全く違った。
まだ上巻読んだだけなので、とりあえずの感想を。
タイトルになっている巨匠もマルガリータも一向に出てこない。巨匠が登場したのが450ページ近い第一部の半ばをとうに過ぎた第13章270ページ。その章のタイトルが「主人公の登場」。間に挟まれるピラトゥス(ピラト)総督の物語は、巨匠の書いた小説ということのようだ。マルガリータにいたっては(巨匠の話に出てきた愛する女性のことだと思うが)未だ名前が出てこない。
おそらくこの二人が第二部で沢山登場するんだろうけど、ここまで読んだ限りでは、悪魔一味に酷い目に遭わされて右往左往するモスクワの人々の群像劇のような感じだ。悪魔たちの、人々を虐めるやり方がなかなかバラエティに富んでいて飽きない上に、ユーモアに富んでいるのでケラケラ笑いながら読める。ちょっと気の毒にもなるけれど。
岩波文庫の表紙がとてもいい。作者ブルガーコフが住んでいたアパートの壁面にファンが書いた落書きを撮影したものらしく、味があって素敵だ。