さまよえる前日鳥

読んだもの、観たものについての取り留めない覚え書き。ネタバレ注意。

『Something Wicked This Way Comes』(何かが道をやってくる)レイ・ブラッドベリ【再読】

高校生の時、読みまくったブラッドベリ。中でも本作は特別気に入っている作品だ。今でも、サーカス団が町にやってくる度にこの作品のことを思い出す。ブラッドベリの中で一冊だけ選ぶとすれば、本作と『10月はたそがれの国』のどちらかで迷って迷って、多分この作品を選ぶと思う。

 

と言っておきながら、実は再読するのはこれが初めて。初めて読んだ時はその直後に気になった部分を何度か読み返したりしたけれど、きちんと最初から最後まで通して読むのは高校生の時以来、ン十年ぶりだ。勿論高校生の時は日本語訳(多分創元推理文庫、大久保康雄訳)で読んだので、英語で読むのは初めてだ。

 

そして英語で読んで初めて気付いた。原題が『Something wicked this way comes』だったとは!マクベスの魔女の台詞!本作にピッタリの題名だ。ちなみにシェイクスピアの中では『マクベス』が私のお気に入りのひとつで、特に魔女のシーンが好きなのだ。

 

初読の時は13歳の主人公Willに寄り添った読み方だったと思うけれど、月日が流れて今回は父親目線に近くなった。この子達、睡眠時間足りてないんじゃないの?とか余計な心配もしたり。それにしても54歳はそれほど年寄りじゃないんじゃないか?”old old man”って随分酷い言い草だ

 

そして月日は流れたけれど、やはりこの作品が大好きだと思った。ちょい古めかしいところとか、今の時代にはそぐわないところとかは勿論あるんだけれど、昔読んだ時と同じようにワクワクしたし、怪しげなカーニバルの雰囲気に魅了された。そして何より文章が美しい。

 

またブラッドベリの作品を色々読み返したくなった。