ハヤカワ文庫
※なぜか間違って記事を削除してしまったので再掲。
夏に読んだSFの感想を地道に続けている。
他の作品を読むつもりが、アンディ・ウィアー作品がセールになっていたので予定を変更して「アンディ・ウィアーの夏」を送ることになった。今回は彼のデビュー作で、Web小説→自費出版→商業出版→大ヒット映画化という現代のアメリカン・ドリーム的な経過をたどった作品。
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マーク・ワトニーは植物学者兼メカニカル・エンジニア。火星探査有人ミッション「アレス3」の一員だ。しかし、火星到着後6日目に激しい砂嵐に襲われ、一行はミッションの中止を余儀なくされる。居住テントであるハブからMAV(火星上昇機)に移動する途中、強風に煽られたパラボラアンテナがワトニーの脇腹に突き刺さり、ワトニーは吹き飛ばされてしまう。彼が死んだと判断した一行は止むなく火星を離れ地球への帰途に就く。
ところがワトニーは生きていた。火星に一人取り残されて。
次のミッション「アレス4」の一行が来るのは4年後、しかも現在地から3000㎞以上離れた場所を予定している。手持ちの食料は約1年分。アンテナが壊れて地球との通信手段は失われてしまった。ワトニーは生き延びて地球に帰ることができるのか。
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という設定だけでもう面白い。ストーリーも、火星側はいかに生き延びるか、地球側はいかに救出するか、という目標に向かって紆余曲折ありながらもほぼ一直線に突き進むので入り込みやすい。
手持ちのマテリアルと科学的知識を活かし、目の前の課題を一つずつ克服していく、というのは「プロジェクト・ヘイル・メアリー」と共通している。一つ一つの過程が非常に興味深くて説得力がある。
全編通じて非常にポジティブ。事態は極めて深刻で、常に死の危険と隣り合わせだけれど、主人公は常にユーモアを忘れず、諦めず進んでいく。読み終わった後に元気になる作品だ。作者の、人類と科学に対する深い信頼が感じられて、科学はともかく人類に対しては色々疑念だらけの私にとっては、羨ましくかつ眩しく感じられた。